こんにちは。フィジカルトレーナーの金盛です。
今日は、パーソナルトレーニングのクライアントのお話から。
【最初の相談は脊柱管狭窄症による移動機能の低下】
圧迫骨折をされている80代女性の方ですが、もうパーソナルトレーニングを受けられてから3年以上は経過しているでしょうか。週に1回ですが、通われています。この3年間もいろいろありました。
もともとは圧迫骨折はなかった方ですが、脊柱管狭窄症があり、神経根症状があったために下肢筋力が低下していることから相談を受けたのが始まりでした。
身の回りのことは比較的できていたことから、要介護の認定は出ずに、介護予防支援の対象になり、介護保険サービスはたくさんは受けられず自費でのトレーニングを望まれたことでご依頼を受けることになりました。
依頼を受けた時には既に移動機能に支障をきたしている状態でしたが、公共交通機関を使って外出ができる状況でした。
結婚して今の地域に住むことになりましたが、生まれ育った場所は交通の便もよく、栄えていたこともあり、決して近いとは言えない距離ですが、80歳を過ぎてからも自分の足で自力で遊びにいっていたようです。
そんなある日、自宅で尻もちをついてしまい、圧迫骨折をされてしまったのです。
【圧迫骨折発症による移動機能低下の進行に拍車をかける】
そこから1か月半くらいは病院に入院されていたでしょうか。ようやく退院され自宅に戻って来られパーソナルトレーニングも再開になります。しかし、今までの要介護度では対応ができない生活状況もあったことから、介護度の区分変更の申請を行い、結果は要介護2に。
現在も週に1度、パーソナルトレーニングをされていますが、移動には見守り介助が必要で、立ち上がり動作も以前のようにスムーズにいかない状況です。
もともと弱かった下肢筋力ですが、圧迫骨折を併発されたことで、下肢の神経根症状は強くなったように感じます。もちろん、1ヶ月半近くの入院による活動制限もあったことから、活動量低下による筋力低下も複合的に考えられますが、下肢筋力は大幅に低下をされ、移動機能は、極力近くで誰かが見守っていないと転倒の危険性が高いレベルです。
【この出来事が教えてくれていること】
このクライアントさまの事例が教えてくれていることは大まかに3つ。
①自宅にも転倒の危険は潜んでいる
②病気やけがの発症で移動機能は著しく低下する
③ADLの低下で好きなこともできなくなった
「①自宅にも転倒の危険は潜んでいる」
今回の事例は、尻もちなのでパッとイメージするような転倒ではないですが、意外にも転倒は住み慣れた自宅にも多いことがデータとして示されており、約半数が自宅で起きています。
→”消費者庁資料:10てん月10とう日は「転倒予防の日」、高齢者の転倒事故に注意しましょう!”
この資料の中でも言われていますが、適度な運動で(移動)機能を維持しましょう!と言っています。
また、2010年の内閣府による調査で60歳以上の男女2,062人に対する聴取の結果によると、60歳以上の人が自宅で転倒した場所は室内が多かったそうです。
「②病気やけがの発症で移動機能は著しく低下する」
転倒による骨折で特に多い骨折部位は4つあります。
①脊椎圧迫骨折(背ぼね) ②大腿骨頸部骨折(足の付け根)
③上腕骨近位部骨折(腕の付け根) ④橈骨遠位端骨折(手首)です。
腕の骨折であれば、動かしずらさが残ってしまっても移動機能に大きく支障をきたすことは無いですが、大腿骨頸部骨折は足の付け根なので、多くの場合は人工関節や人工骨頭と言われる手術を行い、早期からリハビリをすることが多いです。
また圧迫骨折は骨が潰れてしまうことよりも、その患部での神経の圧迫や障害によって足に神経症状が出て痺れや痛みにより動くことが辛かったり、神経症状から動かしずらくなり、筋力低下を進めてしまうことが圧迫骨折の達の悪いところだと思います。
「③ADLの低下で好きなこともできなくなった」
圧迫骨折をする前は、公共交通機関などを使って生まれ育った場所まで遊びにいくような、どちらかというとアクティブな方でしたが、圧迫骨折後は屋外を歩く時も誰かの付き添いが必要な歩行機能まで低下してしまい、生まれ育った場所まで遊びに行ったり、ショッピングを楽しんだりという楽しみを奪われてしまいました。
楽しみを奪われるというのは、人生の生きる意味まで失ってしまうような喪失感だと思います。何を楽しみに生きていくか?
人のお世話になってまで、どう生きていけば良いか?そんなことまで思ってしまう人も少なくないのではないでしょうか。
【転倒で多い要因と転倒時に行っていた活動】
1度以上転倒した人による聴取で多かった要因のベスト3
1位 不正確な移動や体重移動
2位 つまずく
3位 ぶつかる
以上のように、つまずいた、滑った、段差を踏み外したが転倒の3大要因とされることが多いようです。
そして、転倒時に行っていた活動として最多であるのが、「歩行」です。転倒のほとんどは歩行中に発生すると調査結果でわかっています。
ロコモティブシンドロームは早い人では40代から、今では子ども時代からロコモの予備軍などと言われるようになってきています。
なるべく早い時期から運動習慣を身に付け、適度に運動を行うことがロコモティブシンドロームの予防には不可欠だと私自身も実感しています。
そんなノンフィクションでした('◇')ゞ
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