膝が痛くて病院などを受診することがあると思います。
ですが、結果「加齢ですね」「年相応ですのでしかたないですね」と言われた経験はありませんか?
もしくは「軟骨がすり減っていますね」などもあると思います。
少なからず加齢の影響のあることはわかっていますが、それを何とかして欲しくて受診をしたのだけど?
結局のところ痛み止めや湿布剤が処方され、泣く泣く帰ってきた。という話を多く聞きます。
実は、膝の痛みが加齢の影響でも、軟骨がすり減っても、変形性膝関節症になっても、またその原因が他にあっても、やるべきことは大きく変わりません。それは運動療法です。
なぜなら、関節を安定して支えているのは紛れもなく筋肉であり、筋肉の状態が関節の安定性に関わっている要素だからです。ですが、全ての膝の痛みが運動療法で改善できるわけではなく、また必ず改善に至るわけでもないことを先にお伝えしておきます。
ですが、この記事では、「ロコモティブシンドロームの入り口となる膝関節痛の対処法として運動療法が必須な理由」について解説します。この記事を読み終えると、何故、運動療法が必要か?が理解でき、長期的戦略として膝関節痛の予防に繋がり、膝痛の頻度が減らせます。
【原因によって運動療法による膝関節痛への対処法は異なる】
膝の痛みといっても、実はどこが痛いか?で原因が変わってきます。例えば、膝の内側が痛い?外側が痛い?それともお皿が痛い?お皿の下が痛い?といったようにどこが痛いかで原因は異なります。また、どの組織が痛いのか?例えば、骨が痛いのか?筋肉が痛いのか?それとも靭帯が痛いのか?軟骨が痛いのか?
ただ、痛いと言ってもその痛みの原因によって運動療法の選択肢は変わり、ストレッチをした方が良いのか?筋力トレーニングをした方が良いのか?が変わるため、ストレッチをしてあげた方が良い筋肉に対して筋力トレーニングをしてしまった場合、筋肉はより縮んでしまい痛みを助長してしまう可能性もあるのです。
ですので、正しく原因を探り、その原因に合わせた対処法を選択することが必要になります。
【不安定な関節は不必要な摩擦や接触を引き起こす】
加齢とともに軟骨がすり減ってしまうことは、ある意味しょうがいないことも否定はできません。本来、人はホメオスタシス(恒常性機能)といって自分の体を自分で修復する機能が備わっています。それは、軟骨も同じことが言えます。
しかし、年齢とともに毛細血管も少なくなり、血液循環は低下し、軟骨を修復するために必要な栄養も届かせることができず、ただでさえ修復に時間を要する軟骨は修復速度より傷害速度が上回ってしまい、どんどんすり減っていくのです。
これが、軟骨がすり減ってしまうメカニズムです。
ここで考えたいのが、安定した関節と不安定な関節です。
単純に考えて、安定した関節と、不安定な関節では軟骨のすり減りはどちらが速いかと考えたときに、多くの人が不安定な関節の方が速くすり減るだろうと想像がつくと思います。そして、関節を安定させるための役割を担っているのが筋肉なのです。
この筋肉が弱くしっかり支えられないものであれば、関節面は面で支えられず、点で支えてしまい、特定の場所だけ不必要な摩擦や接触を続けてしまい、特定の場所だけすり減ってしまいます。
【軟骨がすり減っても、変形性膝関節症になっても筋力トレーニングは必須!】
では、軟骨を長く使い続けるためにはどうしたら良いでしょうか?
それは、面で支えられる関節の使い方を実践することが大事になります。そして、しっかりと正しく面で支えられるためにも安定して関節を動かすことのできる筋力が必要になるのです。
体重が50kgの人であれば50kgの体重を安定して支えられるだけの関節周囲の筋力が必要になってきます。これが筋力トレーニングが必須の理由になります。
また、軟骨がすり減ってしまっても、変形性膝関節症になってしまっても、関節をしっかり支え、安定した正しい使い方をするという意味では、どちらも関節の安定のために筋力トレーニングをする必要があると言えるのです。
【日常生活動作による立ち座り動作や歩く動作での体の使い方が関節へ負担をかける】
日常生活動作の中でのからだ(関節)の使い方も大事になってきます。例えば、椅子から立ち上がる時に、つま先は外に向いているのに膝が内側を向いていたりすることがあります。この体の使い方の癖は特に女性の方に多い体の使い方になります。この時に軟骨は面でとらえず、点や線でとらえてしまい、膝の痛みや軟骨のすり減りに繋がる体の使い方と言えます。
また、例えば歩いている時などに片足に体重がのっかったときに、自分の体重を片足でしっかり支えられるだけの股関節の筋力(特に股関節の内転筋群の筋力)が無いと膝が外側に向かって開いて(O脚になって)しまいます。こんな時も膝は面で体重をとらえられず点や線でとらえてしまうため、不必要に軟骨のすり減りを助長してしまいます。
【短期的な対症療法も必要だが根本的解決は長期的な視点で】
でも膝の痛みがあったら、運動なんてできないと思います。
そんなときに必要なのが、痛み止めや湿布剤の処方ということになってきます。これは、短期的な対象療法ではありますが、痛みが長く続くことは体にとっては良くない反応。
そもそも痛みがあることで、色んな動作や生活に制限が出てしまい、場合によっては生活に支障が出てしまい、生活すらままならないなんてことも。
だからこそ、痛み止めや湿布剤による疼痛の鎮静が必要になります。
でも、前段、解説したようにせっかく痛みが引いて、動けるようになったのに、関節が不安定な状態で、動いたり、歩いたりすることでまた痛みが出てしまった。
そうなってしまっては、根本解決に至らない。
だからこそ、膝関節痛の頻度を減らすためには関節の安定性の向上が必要になってきます。そういった長期的な対処法と短期的な対処法とを組み合わせながら関節痛の頻度を減らしていくことが大事になってきます。
【とは言っても運動療法をしてはいけない炎症反応がある時】
でもどんな時でも運動をして良いというわけではないです。どんな時はやって良いのか?どんな時はやってはいけないのか?自分で判断することはなかなか難しいことだと思います。
ではどんな時にやってはいけないか?を解説していきます。
それは炎症反応がある時です。炎症反応??
炎症反応とは、患部が
① 痛みがある
② 赤くなる(発赤がある)
③ 腫れる(腫脹がある)
④ 熱を持っている(熱感がある)
上記のような時は運動は控え、RICE処置という処置を行って炎症を抑えることが大事です。
RICE処置とは、その頭文字を取って
R:Rest 安静(安静にする)
I:Icing 冷却(患部を冷やす)
C:Compression 圧迫(圧迫する)
E:Elevation 挙上(患部を挙上する)
上記の対応を取り、炎症を抑えます。
上記の炎症反応がRICE処置で治まったら、徐々に痛みの出ない範囲で運動療法を取り入れるようにします。
【運動療法による膝痛予防でロコモティブシンドロームを回避する】
膝関節痛が出るということは膝関節周囲の組織を損傷しやすい体の使い方をしてしまっているということです。もしくは年齢とともに筋肉の筋力も柔軟性も低下し、関節の柔軟性も低下ししていくことで関節は傷みやすい状態になってしまっています。
このような状況が長く続いていくことで痛みが出現し、組織は損傷し、痛みがあることで不活動が続き、筋力低下にも拍車をかけます。そうなって移動機能が低下することがロコモティブシンドロームです。
ロコモティブシンドロームに陥る前の”痛い”という体の反応は、ロコモティブシンドロームのサインです。
長期的な視点で老後に備え、貯筋活動をしていくことが必要ですね。
【まとめ】
でした!!
少しでも早期に対処して老後の貯筋を増やしてください(-ω-)/
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